肩関節の腫れ:医師が考える原因と受診の目安|症状辞典

肩関節の腫れ

受診の目安

夜間・休日を問わず受診

急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。

  • 転倒したなど、きっかけがはっきりしていて痛みが強い
  • 動かすことができないほど痛む

診療時間内に受診

翌日〜近日中の受診を検討しましょう。

  • 腕を動かすと痛みが強くなる
  • 痛む方の腕が腫れている
  • 日常生活に支障はないが、痛みが慢性化している

場合によって受診を検討

気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。

  • 痛みが短期間で、その後繰り返さない

メディカルノート編集部 [医師監修]【監修】

肩を強くぶつけたなどケガによって肩関節が腫れることはありますが、何も心当たりがないのに腫れが現れた場合、病気が原因となっている場合もあります。

  • 仕事で肩を使うことが多く、最近痛みと腫れが出てきた
  • 急に肩を動かしたときに痛むようになった…腫れている感じもある
  • 何もしていないのに肩に激しい痛みと腫れが出て、熱も出てきた

こういった場合、どのような原因が考えられるでしょうか。

肩関節に腫れが生じるものとしては、脱臼骨折打撲といったケガのほか、関節リウマチ変形性肩関節症、感染性関節炎などの病気も考えられます。

肩関節脱臼

肩関節脱臼とは、肩の骨の位置が正常な位置からずれてしまう状態を指し、外から大きな力が加わることで起こります。

脱臼時に強い痛みが生じ、一般的に痛みは脱臼が正常の位置に元通りに整復されるまで続きます。多くの場合、肩の動きが制限される、肩が変形する、肩・腕・指が痺れる、肩が腫れるなどの症状が伴います。

肩関節脱臼
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骨折など外傷

脱臼だけでなく骨折も外から大きな力が加わることで起こりますが、ほかにも骨粗しょう症など骨が弱い場合(病的骨折)、軽い力でも同じ骨に力が長時間かかり続けた場合(疲労骨折)でも骨折することがあります。

骨折するとその部分に痛みや腫れ、内出血に伴ってあざができ、骨折がひどい場合には動かせない、外見が変形する場合もあります。打撲によっても多くの場合、痛みや腫れ、あざが生じますが、1週間程度で症状が収まることがほとんどです。

骨粗しょう症
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疲労骨折
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関節リウマチ

関節リウマチとは、関節の内面を覆う滑膜(かつまく)が異常増殖し、関節内に慢性の炎症が起こる病気のことをいいます。全身のどの関節にも発症する可能性があり、特に手足の指の関節によく起こりますが、肩の関節に起こることもあります。

主な症状は関節の痛み、腫れ、朝に起こる関節のこわばりです。関節の炎症が長期間続くと関節の変形や脱臼、関節の硬直、関節の拘縮(曲げ伸ばしが難しくなる)を引き起こします。また、発熱や体のだるさ、体重減少、食欲不振などの全身症状が伴う場合もあります。

関節リウマチ
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肩関節周囲炎

肩関節周囲炎とは、一般的に「40肩」や「50肩」と呼ばれるもので、肩の関節を構成する骨・軟骨・靭帯・腱などの老化によって炎症を起こす病気です。

肩関節周囲炎を発症すると、関節に痛みが生じるほか、関節の動きが悪くなります。また、炎症によって腫れが生じることもあります。

肩関節周囲炎は急性期、慢性期、回復期の3つの時期に分類され、基本的に症状は急性期が最も強く、徐々に軽快していきます。

五十肩
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変形性肩関節症

変形性肩関節症とは、肩関節の軟骨が変形して破壊が生じている状態のことをいいます。

初期段階では運動などで肩関節に負荷がかかったときにのみ痛みが生じ、安静な状態を続けると痛みが軽減されます。病状が進行すると常に痛みを感じることが多く、関節の腫れや関節の動きが制限されるようになることもあります。

痛みにおいては、脇から肩関節の外側に起こることが多いとされています。

感染性関節炎

感染性関節炎とは、細菌やウイルスなどが関節内に侵入して炎症を起こす病気のことです。

主に関節の痛み、腫れ、発赤(皮膚が赤くなる)、熱感などの局所症状が現れますが、発熱や体のだるさ、吐き気、食欲不振などの全身症状が伴う場合もあります。

また、進行して関節破壊が進むと関節の機能障害が起こるようになります。

肩関節の腫れが強くなっている、腫れに加えて痛みがある、動かしにくいなどの場合には、一度病院を受診することを考えましょう。また、急激な激しい痛みを感じた場合や痛みがひどくなっている場合には、早めに受診しましょう。

診療科は整形外科が適しています。受診時には、いつ症状が現れたのか、きっかけとなった出来事はあるか、スポーツなど肩に負担のかかる習慣があるか、全身症状はあるか(発熱や体のだるさ・食欲不振など)など、分かる範囲で詳しく伝えましょう。

原因の自己判断/自己診断は控え、早期の受診を検討しましょう。